魔の2歳児を食い止めるしつけの鍵は1歳半ば? 善悪の判断力が芽生える第10メンタルリープ

0歳児はどんなに甘やかしても将来に悪影響は出ません。しかし1歳半頃になると、知能が発達して、子どもの中で自我や行動規範が芽生えます。この時期にどういうしつけ方をするかが、その後の発達に大きく影響することが、科学的研究によって明らかになってきたので紹介します!

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思春期のような幼児期

赤ちゃんにはメンタルリープと呼ばれる知能の成長期が生後20カ月間に10回起こります。そしてこのメンタルリープに入ると、必ず初めに三大オノマトペ「エンエン、イライラ、ベッタリ」に代表されるぐずり症状が現れます。

このぐずり期は赤ちゃんにとっても親にとっても非常に難しい時期なのですが、1歳に入ってからは十代の思春期のように実際の親子喧嘩を誘発するようになります。この頃の子供は物事を自分の思い通りにすることに固執して泣き叫んだり、ごまかしたり、高圧的な態度を取ったりして親を困らせます。とはいえ、このような態度は時が経てばやがて自然と収まっていきます。

ここでは、「体系の世界への入口」と呼ばれる第10メンタルリープについて親御さんによく理解してもらうことで、2年目の育児 (お子さんの幼児期) に余裕をもって移ってもらいたいと思っています。この第10メンタルリープは非常に難しい時期と発達段階で、この思春期のような幼児と一度も親子喧嘩をしたことがない母親はいないと言っても良いくらいです。

第10メンタルリープ (通称「体系の世界への入口」) とは

第10メンタルリープは出産予定日から数えて75週 (生後17カ月) 頃に起こり、それがきっかけで子供に「体系」を認識して処理する知能が芽生えます。その前の第9メンタルリープで子供は物事の「原則 (ルール)」を理解できるようになるのですが、第10メンタルリープに入るとその原則をさらに俯瞰して見れるようになります。

そのため以前ほど覚えた原則を頑なに適用しようとはしなくなり、その原則を状況に合わせて調整できるようになります。また自分の態度を加減できるようになり、どれくらい正直になるのか、協力的になるのか、用心するのか、我慢するのか等々、あるいはそれと逆の態度を取るのかを、その都度判断するようになります。

さらには自分の価値観や行動規範を体系的に育みはじめ、そのおかげで初めて善悪の判断力が芽生えます。

ここで言う「体系」とは、個々が相互に関連して全体としてまとまった機能を果たす物事のことです。体系の具体例を挙げると、昔おじいちゃんがつけていたようなゼンマイ式の時計、冷蔵庫などの家電を動かす電気回路全体、人間の全身の筋肉などがそうです。

また少し抽象的な例としては、人間の組織や組織の秩序もその一つです。具体的な例を挙げると、家族、演劇サークル、警察署、教会、社会、文化、そして法律なども一種の体系です。

自己の発見

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とはいえ上記のような社会、文化や法律の体系を子供が実際に学び始めるのは何年も後の話です。はじめに子どもが学び始めるのは自分の生活圏内に存在する初歩的な物事の体系です。まず子どもは自分に関する知識を体系的に育みはじめ、パパとママと自分を1つの家族として捉えるようになります。また自分の家族と同年代のお友達の家族や自分の家と近所の家を区別できるようになります。

この頃の子どもにとっては自分自身の体系こそが最も身近で最も多くを学べる物事の体系です。そのため、体系のリープに入ると自我 (自分という概念) の発達が始まります。それによって様々な影響が出ます。例えば、自分の体の所有者は自分であり、自分の体は自分の意志でコントロールできことに気づきます。さらには自分で物事を画策できること、物事を自分の力だけでやれること、自分で物事をコントロールできること、自分の欲求を伝えられること、物事は自分で判断できることを発見します。これらはすべてこの頃に芽生える自我の一部です。

模倣と比較

ママとパパは別々の人間だと理解し始めます。一人称や二人称を表す言葉を使い始めます。ママとパパの体つきに強い興味を抱きます。そうやってママとパパの体つきが違うことを発見し、男の子は自分がママよりパパに似ていることに気づきます。こんな風に似ているところと違うところをしっかりと見定められるのです。

人が皆そっくり同じわけではないと理解したことで、人生で初めて他人の立場になって物事を考えられるようになります。また人生で初めて、自分が好きな物をみんながみんな好きなわけではいことを理解します。これらはこの頃まではありえなかった成長です。エゴが減り、他人を慰めるようになったりなど、驚くべき変化がいくつも現れます。

その極め付けはモノマネで、ママやパパの行動を含め、身の回りのあらゆる物事を何でもマネ、おままごとのような遊びをするようになります。また言葉のオウム返しや行動をそっくりそのままマネるのが目立つようになるでしょう。そのためついに親が模範となり、子どもに取らせたい行動を示す時期がやってきます。

この家とよその家の違い

アリから犬まで人間以外のありとあらゆる生き物にも興味を持ちます。それら1つ1つが物事の体系だからです。この頃にお子さんは自分が家族の一員であることや、自分の家族と1週間に2回遊びにくるお友達の家族の違いを理解し始めます。

家族というのは子供にとって初めて実際に内側から把握できる人間の組織なのです。この頃の子どもは、お友達の家族は自分の家族のように夕食のときに必ずサラダを食べるわけではないことを確かに気づいています。それは自分の家族が守っている一連の原則と違うからです。

認識力の向上

この頃になると、そうやって自分の家族の体系を理解し始めるのみならず、自分の家族と他の家族を識別できるようになるのですが、それだけではなく友達、家、ご近所も認識できるようになります。例えば、自宅の周りの見慣れた場所では自分ですいすい行きたい方を見つけて進んでいくようになります。

また自分の服を強く意識するようになったり、うぬぼれ屋になったり、(おもちゃなど) 自分の所有物に対する独占欲が強くなるでしょう。さらには、時間の感覚が芽生え始め、過去の体験を思い出したり、未来に起こることを予測するようになります。

創造力や表現力がものすごく豊かに

高い創造力や表現力を発揮するようになります。ただのデタラメな落書きではなく、「馬」や「船」、そして「自分自身」といった具体的な物を描くようになります。これまた体系の一種である音楽も好きになります。

また子どもによっては文を作れるようになりますが、これは全員ではありません。他の行為にも全く同じことが言えますが、特定の行為ができるようになる時期は子どもによって大きく違います。例えば、この時期になるとみんなママの言っていることを聞いてだいぶ理解できるようになるのですが、まだ自分では言葉を話さない子もいます。

大人のマネをしていくつかの単語をよく使うのだけれども、まだ文にはなっていない子もいるでしょう。子どもがどの程度の言葉を話すかは、日頃の親とのコミュニケーションにかかっています。

価値観と行動規範が芽生える


今が良い行いを学ぶ絶好の機会です。この時期についた思考習慣は後になってそう簡単に変わるものではありません。

善悪の判断力 (行動規範や価値観の体系) はこの時期に芽生え始めます。この頃に基本的なルールが正しく身につかなければ、近い将来、「魔の2歳児」をはじめとした悪影響が表れます。こんなに小さくて移り気な年頃からルールを設定して守らせたり、善悪の基礎をつけるための時間や労力を親がわざわざ割くのは難しい、ややもすれば現実的じゃないとさえ感じる方もいるかもしれません。でも今からそうしておくことで、将来への大きな布石となります。それがひいては、お子さん、ママ自身、そして周りの人たちを様々な苦悩から救うことになるのです。

実は乳児はいくら甘やかしても将来に悪影響は出ないのですが、幼児の場合は知能が発達している分それが出てしまうのです! 幼児になったお子さんの頭の中で起こっていることを理解している親であれば (もう彼らはかなりのことを理解しています)、子どものこれからの幼児期の振る舞いを形作り、今後の人生を通じてずっと向き合うことになる価値観や行動規範の土台を作ってあげられます。

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