第0メンタルリープがある!?赤ちゃんは出産予定日から数えて5週頃に初めての知能の成長期を遂げます。このいわゆる第1メンタルリープを遂げると、赤ちゃんが感じている世界が一変します。ではその前の赤ちゃんの感覚世界はいったいどんな風なのでしょうか?赤ちゃんがお腹の中で感じている世界や第0メンタルリープについて解説します。
(ママのお腹の中で)第0メンタルリープがある!?
赤ちゃんのメンタルリープ(ぐずり期=知能の成長期)を解き明かした育児書「不思議な週齢ワンダーウィーク」の著者であるF. プローイュ博士は、赤ちゃんがお腹の中にいるときに学ぶ色々な物事を総称して第0メンタルリープと呼んでいます。
つまり第0メンタルリープとは生まれたときに赤ちゃんに備わっている『知能のスタート地点』に至るまでの発達過程というわけです。
お腹の中にいるときから知能は成長
胎児のときに成長するのは体だと思っている人は今もたくさんいます。確かにそれはある意味正しくて、特に妊娠初期の段階で際立っているのは体の発達です。ただし妊娠後期になると胎児は脳を使った行動を取りはじめます。そして思考を始めると言ったらまだ言い過ぎですが、少なくとも子宮の内外から受ける刺激に反応を示すようになることが研究で明らかになっています。
これらは脳によって制御された反応です。昔は生まれたての赤ちゃんですら、様々な反射機能のついた単なる肉体に過ぎないと考えられていました。その時代からまだ百年も経ってないと思うと、この発見は大いなる進歩です。現代の科学では、胎児の知能や認識力の発達過程について色々なことがわかっています。
胎児はママの気持ちを感じ取っている!
自分自身が誰よりもよくわかっていると思いますが、ママは自らが作り出したへその緒で胎児とつながっていて、お腹にいるときから赤ちゃんとの絆を築いています。そしてママは出産前から既にもう赤ちゃんについて様々なことを理解し始め、赤ちゃんがお腹を蹴ったり、クルっと回ったりしたのにもちゃんと気づいています。
それと同じように、胎児も「味」や「音」から、ママの気持ちを感じ取っています。赤ちゃんというのはある時点から羊水をチビチビ飲むようになります。実は羊水の味というのはママの体調や気分によって変わります。赤ちゃんはその変化を感じ取ることができるのです。
ちなみに、この頃の赤ちゃんは大きい子どもや大人よりはるかに多くの味蕾 (舌や軟口蓋にある食べ物の味を感じる小さくてツブツブした器官) を持っています。また味蕾のある範囲も広く、具体的に言うと、口腔全体に広がっています。つまり赤ちゃんというのは味のエスパートなのです。当たり前ですがママの気分は大きく変わることがあります。そしてママが急に何か強いストレスを感じると、羊水の味が変わることが、研究によって明らかになっています。
隣人とのおしゃべりなどで生じる小さな変化を感じ取るのは難しいのですが、ママというのは赤ちゃんに意識して話しかけるときに必ず感情がこもるため、その味の変化を赤ちゃんは感じます。つまり感情を込めることで、赤ちゃんにママの話が伝わりやすくなるのです。ちなみに出産後も、ママが感情を込めて話しかけると、赤ちゃんは「話し方」を覚えやすくなります。
お腹の中の赤ちゃんはママの気分を味だけではなく、音でも感じ取っています。もっと言うと、胎児の気分はママの気分に左右されます。またママが気持ちを言葉に出すと胎児にも伝わります。
ちなみに胎児はママの声の旋律や音程の変化を聞いてママの気持ちを感じ取っているため、もしママが実際の気持ちとは違う内容を言ったとしても、ちゃんと本当の気持ちの方を感じ取ります (そもそもまだ言っている言葉の方は理解していません)。
また胎児はママの心臓の鼓動を感じていて、特定の状況に対するママの心臓の反応を聞いています。具体的に言うと、ママが喜んでいるときや驚いているとき、悲しんでいるときの鼓動の変化を聞いているのです。このように胎児はママの感情を音で感じ取り、それに共鳴します。
また、ママの息遣いからも気持ちを読み取ります。息遣いは普通の状態のこともあれば、咳をしたり、呼吸が早くなったり、息が長時間止まったりなど変化するものです。それらには全て特定のメッセージ (情報) があります。そのメッセージに対して胎児はそれぞれ独自の反応を示します。
ママのお腹の中の記憶
実を言うと、生まれたての赤ちゃんは (自分では自覚がないものの) ママのお腹の中で起きた物事を覚えています。
例えば、研究によって、胎児には音を聞く聴力があり、その聴力が妊娠 36~37 週頃に急激に発達することまでわかっています。また前に聞いたことのある音も認識できます。つまり記憶力があるのです。博士たちが妊娠 36~37 週の複数の胎児に同じ音楽を繰り返し聞かせる実験を行いました。すると、その胎児たちは音楽が流れるたびに同様の動きを見せたそうです。
これはその音楽を認識したという証拠です。実は胎児がお腹の中から聞こえてくる音に反応を示すのはそのもっと前からなのですが、そのときはまだ音を認識しているわけではありません。つまりその時点ではまだ耳ではなく脳の発達が足りないのです。そして、その発達が始まるのが妊娠 30~36 週頃なのです。
五感の感覚
赤ちゃんはママのお腹の中にいるときから色々な味、音、感覚を感じていて、それらを記憶することもできます。ただし、それらの感じ方や記憶の仕方が私たちのそれとは大きく異なっています。これは脳が私たちと全く同じようには機能していないためです。
例えば、隣の人の香水の香りを感じたときに、私たちはそれが匂いであり、味や音ではないことがわかっています。ところが生まれたばかりの赤ちゃんはまだ、これらの感覚の違いを区別できないのです。まだ五感で感じた印象がごっちゃになってしまっているのです。 つまり五感を通じて受ける全ての刺激を1つの大きな感覚として捉えているのです。例えるなら、「感覚のスープ」の中に新たな具材が投げ込まれるようなイメージです。また生まれたばかりの赤ちゃんには自分という概念がなく、自分と周りの世界を一つのものとして捉えています。
私たち大人には想像し難い世界ですよね。そして赤ちゃんの世界観は、メンタルリープを遂げるたびに私たちのそれに近づいていき、それぞれの五感が受ける刺激の違いの識別の仕方を覚えたり、自分自身という者の概念や形を理解する術を学びます。このメンタルリープという現象は生後20カ月間に10回起こるのですが、これらの発達段階で芽生える知識や知能はすべてお腹の中で学んだ物事(第0メンタルリープ)の上に積み重なっていくのです。
0コメント