赤ちゃんのぐずり期の存在と時期が特定された経緯

メンタルリープとそれに伴うぐずり期の存在と時期が発見された経緯を紹介します。

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サルの研究が始まり

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1970年、シカゴ動物学会のロバート・H・ホーウィッチ氏が12種類のサルを研究して、その行動の発達過程の調査を行いました。 そして1974年に、サルの赤ちゃんの行動が発達するときに「退校期」が起こり、その時期はどの種でも基本的に同じであるという彼の発見をまとめた本を出版しました。 この「退行期」とは子ザルが精神的に不安定になり、その結果として母ザルとのスキンシップが非常に多くなる時期を指します。


その後、チンパンジーの研究を経て人間へ

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この研究を発展させて、チンパンジーでも同様の現象が起こることを発見したのがF. プローイュ博士とH. ヴァン・デ・リート博士です。 さらに二人はその発見を人間の母子の研究にまで広げ、人間の赤ちゃんにも知能が発達するときにサルやチンパンジーと同様の「退行期」があることを発見しました。  

その後二人の研究はスペイン、イギリス、スウェーデンのそれぞれ独立した研究グループによって再現されて再実証されました。 これらの研究については2003年発行の「Regression Periods in Human Infancy」という本にまとめられています。  


二人の研究について

H.ヴァン・デ・リート博士とプローイュ博士は35年間にわたって赤ちゃんの発達過程や知能の発達に伴う行動の変化を研究してきました。この研究は許可をもらった実際のご家庭で、日々のママと赤ちゃんの日常生活を観察する形で行われました。

この観察研究を通じて二人は、ある決まった時期に普通の健康な赤ちゃんが泣きやすくなったり、問題児になったり、要求的になったり、ぐずりやすくなる現象を発見し、週齢と結びついた10段階の知能の発達ステージ(メンタルリープ)を特定しました。メンタルリープとは生後20ヵ月まで続く、赤ちゃんの脳に急激な変化が起こる時期のことです。

この研究に参加したママたちによると、この時期に入った赤ちゃんは普段よりもぐずりやすくなったそうです。ぐずり方としてはいつもよりエンエン泣きやすくなったり、母親にベッタリになったり、イライラしていることが多くなったりする症状が見られました。つまり「エンエン」「ベッタリ」「イライラ」という3つのオノマトペが、この時期の典型的な症状だったのです。実際に二人が発見したメンタルリープとそれに伴う赤ちゃんのぐずりは、サルやチンパンジーの研究で解明された退行期によく似ていました。


上記の研究を一般のママやパパ向けにまとめた育児書を出版 

その後、二人は上記の発見を一般のママやパパ向けにまとめた育児書を出版しました。その本の中で二人は、自らが発見したあらかじめ決まった時期に起こる10段階の知能の成長期とぐずり期についてまとめ、特定の時期の赤ちゃんが考えていることや行動の理由を解説しています。この本は不思議な週齢ワンダーウィークというタイトルで2015年に日本でも出版されています。この本を読むと、赤ちゃんが必要としているケアを求められているタイミングで行い、各発達段階の効果を最大限に引き出せるようになります。


二人の研究と発見が一般のママやパパにもたらすもの

知識は力です。二人が発見した赤ちゃんの発達ステージを把握しておくことで、お子さんが大きく成長する時期とそれに伴うぐずり症状が出る時期を予測できます。また二人がまとめたワンダーウィークを読むと、お子さんの異変が通常の発達過程であることがわかります。 そしてメンタルリープについて学んでいるママやパパは、科学的な根拠に基づいて上手に赤ちゃんの知能や社会性の発達を促し、心身の健康をサポートする準備ができます。

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